日本学術会議からの報告

会長メッセージ「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の第4回会合の開催について」の発出について              

2023年11月11日 06時00分

 日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の第4回会合の開催について 

                          令和5年11月10日
                            日本学術会議会長
                                光石 衛

 過日11月2日(木)8:00〜10:00、日本学術会議の在り方に関する
有識者懇談会の第4回会合が開催されました。今回から第26期の会長として、
第25期の梶田会長を引き継ぎ、有識者懇談会に出席してまいります。初めての
出席であり、議事に先立ち、懇談会の皆さまにご挨拶とともに、会長としての抱
負を4点ほど申し述べました。
 第1は、従来の各学術分野ベースのボトムアップの助言機能に加え、分野横断
的かつ課題解決型の助言機能の強化とともに、タイムリー、スピーディな意思の
表出に向けての助言機能の強化です。第2は、海外の科学者からなる外国人アド
バイザリーボード(仮称)の設立です。日本学術会議の活動や世界の学術の課題
等について意見交換を行い、活動や運営に活かし、日本の学術のビジビリティー
の向上を図ります。第3は、会員、連携会員を媒介とした産業界をはじめとする
社会の多様な団体とのコミュニケーションの促進です。社会課題はもちろんのこ
と、企業の研究力の向上についても議論したいと考えています。第4は、市民と
のコミュニケーションの促進と地方の活性化です。そして、こうした活動強化に
は、予算の手当てが不可欠であることも強く申し上げました。
 さて、第4回の懇談会では、まず、内閣府から、これまで懇談会で出された主
な意見と、日本学術会議からの説明や回答を取りまとめた資料が報告されました。
 続いて日比谷潤子副会長が、第26−27期会員の選考について報告を行いま
した。とりわけ、コ・オプテーション方式について丁寧な説明を加え、会員選考
に関する説明責任の強化に取り組み、会員のジェンダー・バランス、地域分布、
年齢構成に関して、望ましい結果が得られたことを報告しました。懇談会の委員
の方には、学術会議の選考やその考え方についてさらに明確にご理解いただけた
のではないかと思っております。
 有識者委員からは、第3回までの会合において、委員が発言する機会が限られ
ており、もっと委員間の議論を重ねたいという要望が出され、今回はこれまで以
上に委員から多くの意見が出され、活発な議論が交わされました。そこでは、日
本学術会議の組織体制の議論の前に、日本学術会議の機能や役割について十分な
議論がなされる必要がある、会員選考については社会に対する説明責任は必要で
あるが、独立性の担保がなされることが重要である、国からの十分な財政的な支
援が必要であるなど、概ね学術会議が目指してきた方向での議論が進みました。
 議論の最後に、内閣府から、日本学術会議を法人化する場合の案についても議
論してほしいという提案が出されました。これに対して、私からは、法人化あり
きの議論はすべきでなく、引き続き国に存置する案も含めて、期待される役割・
機能をより良く発揮できるようなあり方はいかなるものかについて検討していた
だきたいと、これまで繰り返し表明してきた要望をあらためて発言しました。

 法人化案が内閣府から示された場合には、日本学術会議としてどのように対応
すべきかが、喫緊の課題として立ち上ってきました。懇談会での議論を共有し、
対応の方向性等について会員間で議論する機会を持つことが必要であると考えて
います。また、事態の進展によっては、臨時総会を開催し、日本学術会議として
の対応について議論する可能性も検討しています。
 このような事態のなか、これまで以上に日本学術会議を支えていただきますよ
う、心よりお願い申し上げます。


*内閣府・有識者懇談会HP
https://www.cao.go.jp/scjarikata/kondankai.html

*第4回有識者懇談会資料
https://www.cao.go.jp/scjarikata/kondankai/20231102shiryo.html

*第4回有識者懇談会議事録
https://www.cao.go.jp/scjarikata/20231102gijiroku.pdf

*第3回有識者懇談会議事録
https://www.cao.go.jp/scjarikata/20230925gijiroku.pdf

*第2回有識者懇談会議事録
https://www.cao.go.jp/scjarikata/20230906gijiroku.pdf

*第1回有識者懇談会議事録
https://www.cao.go.jp/scjarikata/20230829gijiroku.pdf

*日本学術会議HP「日本学術会議の在り方について」特設ページ
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-20.html

日本学術会議からのお知らせ

日本学術会議ニュース・メールはこちら

日本学術会議会長談話

会員、連携会員、協力学術研究団体 各位

 平素より大変お世話になっております。
 令和4年11月28日、日本学術会議会長談話「日本学術会議法改正に関わる今般の報道について」を公表いたしましたので、以下のとおり御報告いたします。
                                            日本学術会議事務局

                      日本学術会議会長談話
                「日本学術会議法改正に関わる今般の報道について」

                                             令和4年11月28日

 11月23日早朝のNHKニュースにおいて、「日本学術会議改革で法改正へ 第三者委員会設置など明記 政府」という報道がなされました(※)。
 日本学術会議のあり方をめぐる政府方針については、本年夏までに公表するとの意向が当時の小林鷹之科学技術担当大臣から表明されておりました。そのため、本年8月の本会議第185回臨時総会は、すでに政府方針が公表されているとの見通しのもと開催いたしましたが、残念ながらそれまでに公表されることはありませんでした。その後、本会議では、小林大臣の後任として日本学術会議を担当される山際大志郎前経済財政担当大臣および現在の担当の後藤茂之経済財政担当大臣に対し、早期の公表及び本会議への正式な説明をたびたび求めてまいりました。並行して、本来であれば10月に開催されるべき第186回総会を12月に延期し、政府方針の公表及び説明を受けたうえで、政府方針について本会議の考え方を取りまとめることとしておりました。しかるに、この間、本会議の度重なる要請にもかかわらず、本会議への説明の前に、このように唐突な形で来年の通常国会への「法改正」案の提出に言及する報道がなされたことに驚きを禁じえません。きわめて遺憾なことと言わなければなりません。
 本会議はすでに令和3年4月の第182回総会において「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を決定し、国際的に共通するナショナル・アカデミーの基本原則としての「5要件」を前提とした自主的な改革を進めてまいりました。仮に今回報道されたような法改正がなされた場合には、わが国の科学者の内外に対する代表機関としての日本学術会議の独立性の根幹に関わりかねないと懸念されます。
 日本学術会議は、政府方針及び、仮に法改正を伴うのであればその法案の具体的内容の詳細を一刻も早く公表するとともに、12月8日に予定された総会の場などで本会議に対してしかるべき形で説明をされることを強く求めます。
 日本の国民と学術界の全ての皆さんには、こうした状況に鑑み、学術の健全な発展のための議論を繰り広げていただくようにお願いいたします。

(※)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221123/k10013900721000.html

日本学術会議の活動と運営に関するご連絡(日本学術会議事務局)

会員、連携会員、協力学術研究団体 各位

日本学術会議の活動と運営に関するご連絡

日本学術会議事務局

 平素より大変お世話になっております。
 2022年10月24日、第332回幹事会を開催するとともに、日本学術会議の活動と運営に関する記者会見を行いました。記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶(下記のとおり)のほか、国際学術会議(ISC)常設委員会委員選出、英国王立協会と日本学術会議によるネットゼロに向けた科学技術対話、学術フォーラム・公開シンポジウム等の開催予定についてご説明いたしました。幹事会資料及び記者会見で配布した資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。

○第332回幹事会(10月24日)資料
https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/siryo332.html

○第25期幹事会記者会見資料(10月24日)
 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/kisyakaiken.html

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○記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶
(総会の延期)
 まず、10月24日から26日に予定していた学術会議総会の開催の延期に関してご報告いたします。
 ご承知の通り、学術会議の在り方の見直しについて、政府においてこの夏までに方針を出すべく検討が進められてまいりました。その結果は8月の臨時総会までに公表されるものと考えられたことから、当初の予定では臨時総会において本件の議論を行うことを考えておりました。結果的にそれは叶いませんでしたが、臨時総会でご挨拶いただいた当時の小林科学技術政策担当大臣からは、総会には間に合わなかったものの、「最終調整を行うところまでまいりました」とのお言葉もありました。
 他方、8月の内閣改造により学術会議の担当となった山際大志郎大臣を9月初旬にお訪ねした際に、大臣からは政府と学術会議のコミュニケーションが不可欠であること、政府の方針について細部の確認等を進めており、準備が整ったら公表して、学術会議にも速やかに説明したいと考えていることをお聞きしておりました。そうした大臣とのやりとりも踏まえ、その後も事務局を通じるなど、あらゆる機会を捉えては政府方針の早期の公表を求め、また説明の機会を設けるようにお願いしてまいりました。直近では10月21日に、このお願いの趣旨を記した文書を山際大臣に宛てて送付したところです。
 次回の総会は、会員任命問題に加えて、政府方針に対する日本学術会議の考え方を明示する大切な機会です。ところが、いま申し上げたような状況が続いて、その役割を果たすことが困難になることが予想されたことから、10月の総会開催は延期することとし、12月8日及び21日の2日間に開催することとしました。
学術会議の今後の在り方についての私たちの基本的な考え方は、昨年4月の総会で決定した「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」や、本年1月の総合科学技術・イノベーション会議の民間有識者議員による政策討議の取りまとめを受けた会長談話等で明らかにしてまいりました。公表されていないもとで政府方針がどのようなものかは推測したり予断したりできませんが、私たちとしては、人類普遍の価値としての学術に求められる役割を大前提に、あるべき日本 学術会議の形として私たちがこれまで示してきた考え方が尊重されることを強く願うとともに、政府方針の内容の如何によらず、そうした私たちの考え方に照らして内容を慎重に吟味し、広く国民のみなさんにお伝えする責務があると考えています。慎重な検討を踏まえて総会での審議ができるようにするために、引き続き、山際大臣と直接お目にかかってお願いすることも含めて、一刻も早く政府方針が公表されるように関係者に強く働きかけていく所存です。
(次期会員選考)
 続いて、次期(第26-27期)の会員選考については、4月の総会で決定された「選考方針」に基づき、選考委員会において検討を重ね、本日、会員選考における具体的な基準や考慮すべき事項の細目、選考の方式などを定める選考要領等を決定しました。近々、現会員・現連携会員に対し次期の会員及び連携会員の候補者の推薦を依頼し、併せて学協会等にも候補者に関する情報提供をお願いしたいと考えています。
(国際活動)
 また、国際的な活動として、国際学術会議(ISC)委員の選出と、英国王立協会との科学技術対話について、この後、高村副会長からご説明いたします。
(学術フォーラム等の開催予定)
 最後に、今後の学術フォーラムや公開シンポジウムの開催予定について、この後、菱田副会長からご説明いたします。
 私(梶田会長)からの冒頭の報告は、以上です。
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第185回総会及び記者会見に関するご報告

2022年8月10日、日本学術会議第185回総会を開催しました。総会終了後、記者会見を行い、梶田隆章会長の挨拶(下記のとおり)において、総会の概要についてご報告いたしました。総会及び記者会見で配布した資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。

○日本学術会議第185回総会配布資料
https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/sokai/siryo185.html

○第25期記者会見資料(8月10日)
 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/kisyakaiken.html

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○記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶

 本日、第185回となる総会を学術会議講堂及びオンラインで開催しました。総会の議論は公開で行いましたので、その内容についてあらためて紹介することは省略しますが、各議題について大変活発な議論が行われました。本日は、その中で、特に重要な事項についてご報告いたします。

 まず、会員任命問題については、これまでの経緯とあわせて任命問題に取り組む際の基本的な考え方をお示しするとともに、3月16日及び8月3日に行った松野内閣官房長官との対話の内容を説明し、会員との意見交換を行いました。
会員の皆様からは、お聞きいただいたとおり、執行部の苦労を多としつつ、忌憚のない意見を多くいただいたので、本日のご意見も踏まえながら、引き続き、この問題の解決に向けて粘り強く取り組んでまいります。

 また、非公開審議において、昨年9月から本年8月までの間に、逝去または定年により退任された5名の会員の補欠の候補者について総会の承認をいただきました。
 人事に関するものですので、その詳細の説明は控えますが、今後は規定に従って、内閣総理大臣への推薦を行う予定です。

 このほか、本日の総会では、研究インテグリティや、有期雇用研究者・大学教員等のいわゆる「雇止め」問題、研究力強化に向けた取組などについて、会員による活発な討議が行われました。いずれも日本学術会議として積極的かつ前向きに取り組むべき項目であり、今後の活動に反映してまいります。

 なお、本日の総会では、日本学術会議の在り方に関する政府の方針について内閣府から説明を聴取することはできませんでしたが、今後、政府の方針が公表された後は、内閣府から説明を聴取し、質疑応答・意見交換を行う会員向けの別途の機会を速やかに設けることを検討しています。
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日本学術会議会長メッセージ及び論点整理(改訂点)

日本学術会議会長メッセージ及び論点整理(改訂点)について(研究インテグリティ)平素より大変お世話になっております。

 この度、日本学術会議会長メッセージ「「研究インテグリティ」という考え
方の重要性について」が取りまとめられましたので、以下のURLからお目通
しください。

 このメッセージは、科学者委員会学術体制分科会において「科学者コミュニ
ティからの研究インテグリティに関する論点整理【改訂版】」が公表されたこ
とにあわせて取りまとめられたものですので、論点整理【改訂版】についても
御報告いたします。

(日本学術会議会長メッセージ)
 https://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/20220722.pdf

(科学者委員会学術体制分科会)
 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/gakutai/index.html

(科学者コミュニティからの研究インテグリティに関する論点整理【改訂版】)
 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/gakutai/pdf/ronten25-1.pdf

日本学術会議会長談話

日本学術会議会長談話「ロシアによるウクライナへの侵攻について」(2022年2月28日)
              
日本学術会議会長談話         
「ロシアによるウクライナへの侵攻について」 

このたびのロシアによるウクライナへの侵攻は、世界の平和と安全を脅かし、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、到底、受け入れられるものではありません。このような事態が、人びとの安寧と、世界と日本における学術の発展及び学術の国際的な連携に及ぼす影響を深く憂慮し、対話と交渉による平和的解決を強く望みます。                       
    
                             令和4年2月28日
日本学術会議会長
                                                                                          梶田隆章         

日本学術会議 地域研究委員会 地域研究基盤強化分科会からの提言発出

日本学術会議地域研究委員会地域研究基盤強化分科会が、提言「不透明化する世界と地域研究の推進:ネットワーク化による体制の強化に向けて」を発出しました。
「昨今の激動する世界状況において、日本における地域研究が重要性を高めているにもかかわらず様々な困難に直面しているという危機感にもとづき、ネットワーク化による研究教育推進体制の構築を提案する」という趣旨で、地域研究人材養成体制、社会貢献と情報発信、研究資源の共同利用体制、持続性のある地域研究推進体制などの強化を提言しています。
学会員をはじめ、関係する諸方面の皆様に、ぜひご一読のうえ認識を共有していただければ幸いです。

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t295-4.pdf

日本学術会議推薦者の任命拒否についての声明

2020 年10 ⽉15 ⽇
 
⽇本学術会議推薦者の任命拒否についての声明
 
ロシア・東欧学会理事会

 10 ⽉1 ⽇付で内閣総理⼤⾂により任命されるべき第25 期⽇本学術会議会員のうち6名が任命されないという事態が⽣じた。⽇本学術会議が総理⼤⾂に対して任命拒否の理由の説明と速やかな任命を求めているが,実現していない。
 ロシア・東欧学会理事会は,これまでも⽇本学術会議と幅広く連携し,いくつかの提⾔等の作成に本学会会員が関与してきたが,このような任命拒否は,⽇本学術会議の独⽴性を脅かし,その活動に⽀障をきたすものであると考える。また,総理⼤⾂によるこのような⾏為は,⽇本における法の⽀配を揺るがし,学問の⾃由や⾔論の⾃由を脅かすものであると考える。
 このような観点から,本学会理事会は,総理⼤⾂に対し,任命拒否の理由の具体的な説明と拒否された6 名の任命を求める。